郵便番号で余命がわかるアメリカ

2020年06月16日
上段左 寿命の差(年) 上段右 平均寿命
上段左 寿命の差(年) 上段右 平均寿命

なぜわかる


2019年の6月、

今からちょうど一年前

Your ZIP Code Might Determine How Long You Live

「郵便番号で貴方の寿命がわかる」

というTIMEの記事を読み、

あまりにも衝撃だったので子供達に

興奮気味に伝えたところ、

嘘でしょ?と興味を持ってくれませんでした。涙

でも、今は、

子供達も問題の根深さを

わかってくれているようにおもいます。


雑誌はとうに捨ててしまいましたが、


無事探していた記事にたどりついてホッとしている

https://time.com/5608268/zip-code-health/

スナダマリコ です。


要約すると、

アメリカでは住む場所で、

生活の質に大きな隔たりがあり、

結果的に寿命に影響するということなのです。


別の記事でも具体的な例が出ていたので

挙げてみます。

ワシントンDCの

Barry Farms近郊の住人の平均寿命は63.2 歳。

そのわずか10マイル先の

Friendship Heights とFriendship Villageに生まれた赤ちゃんは

96.1 歳まで長生きする。

(CDC:Centers for Disease Control and Preventionデータより)


厳しい現実


このように地域で大きく寿命に差があるのは、

人種や民族で

居住地が隔てられているからです。

失業率が高く、

貧困のため満足な住居を探せない住民が

多く住むエリアが存在します。


彼らは最低限の公的サービスしか

受けられません。

医療設備やクリニックも近隣にありません。

公立の学校でさえも

満足な設備が整っていないのです。


そもそも保険会社や製薬会社の利益が

不当にまで高く

国民皆保険のないアメリカでは、

貧困は死を意味します。


そして、生鮮食料品を扱うスーパーが

全く無いような地域が

アメリカ中に多く存在するのです。


100円ショップの知られざる闇


2ヶ月くらい前のことですが、

PBSラジオ(NHKに相当する)で、

Dollar Tree(1ドルショップ)

を地域から締め出す運動をしている

女性のインタビューを聞きました。


1ドルショップで何があった?と

100円ショップの恩恵を受け続けてきた

一人の日本人として、

レーダーが反応しました。


聞くと、

貧困地域をターゲットに進出攻勢を仕掛けている

Dollar Treeのせいで

地元の食料品店が競争に負け、

店を閉じざるを得ない。


Dollar Treeには食糧品が売っているが

全てProcessed food (加工品)である。

これでは地元民の食生活、

ひいては健康を守ることができない。

そういった趣旨で、

なるほどとうなづきました。


これまで挙げてきた問題は

多くの「郊外」と表される

白人居住地区では見られない問題です。

わたしの住んでいる地域も

アジア人が比較的多く

収入が高い、そして学校レベルが高い、

すなわち安全な「郊外」地域、

という式に収まります。


当たり前が手に入らない地域


ここで前回のブログで

Goffさんの言っていることを思い出してみましょう。

彼は、

鍵は「郊外だ」と言っているのです。

虐げられた人々の生活を変えるには

地域の公的サービスをまず

「郊外」のレベルに上げるべき、

と訴えています。

この「郊外」と言う言葉を

「平均」に言い換えたらどうでしょう。


本来であれば

最も手厚く公的補助が受けられて当然の地域の人々こそが、

「平均」以下、

つまり放置されてきたという事実です。


「郊外」「平均」的な社会に暮らして初めて、

教育や医療、健康的な生活が手に入るから

警察の介入が減り、

差別による人権無視の警察行為も減ると

訴えているのです。


Goffさんは

国による支払いの話を何度も訴えていました。

「これは警察の話ではない。

アメリカという国が黒人に支払いをしてこなかった。

今こそ賠償されるべきだ」と。


400年間に及ぶ

虐げられた歴史を持つ黒人住民に対して

賠償どころか

国民として「平均」的な支援がないことが、

今も格差を広げ続け、

多くの人々の命が弄ばれる事態に

つながっているのです。


妨害される選挙権


つまり、社会的弱者を

弱者のままに留めたい

差別的なフォースが

国のシステムとして働いている。


民主主義を声高らかに歌う国として

恐るべきことですが、

貧困地域、黒人、移民が多く住む地域の

投票所を大幅にカットするなど

近年あからさまな選挙妨害で

目を覆う事態になっています。


特にジョージア州はなりふりかまわぬvoter suppressionがあること。

https://www.nytimes.com/2019/03/06/us/politics/governor-brian-kemp-voter-suppression.html

ここに付け加えたいと思います。


もう一度Goff教授の言わんとすることに戻りましょう。

彼の言う、

「国による黒人社会への支払い」を

Reparations (奴隷制賠償)

と言います。


こちらは日本語の記事ですが

奴隷制賠償が必要な理由が

わかりやすくまとめられています。

https://www.mashupreporter.com/cory-booker-introduces-reparation-bill/


また、下の記事にもあるように、

https://bizseeds.net/articles/1078

個人に金銭的賠償を払うのは

大変難しい問題でもあります。


そう、個人に賠償するのは確かに難しいかもしれませんが、

Goffさんの言うように、

貧困地域に公的資金を投入して

地域の安全、平和、健康衛生や教育を守る政策をとることは

決して不可能ではありません。


そういったことに力を注ぐ

地域の代表者を選挙で選ぶことが

ますます重要になってくると心から思います。

ジョージフロイドさんの弟さんの

Educate yourself and know who you are voting for.

というメッセージが強く刺さります。

https://www.youtube.com/watch?v=5pC5sHGA7P8



さて、貴方がもしアメリカに住んでいると仮定して、

平均寿命を知りたかったら、

こちらでzipcodeを入れてみてくださいね。

https://www.rwjf.org/en/library/interactive/whereyouliveaffectshowlongyoulive.html


長い文章にお付き合いくださいましてありがとうございました。


スナダマリコ

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