Be Different

2020年10月01日

生徒たちへのメッセージ

先週9月27日(日)に私の主催する

つながるえいご online studioの

第3回オンラインプレゼンテーションが終了しました。

生徒が一堂に集まる機会を利用して

生徒たちとご家族に向け、

毎回メッセージビデオを作って送っています。


今回は少し難しい内容だったと思いますが

人間一人一人が大切な存在、

だから違いを恐れず、受け入れ

世界に飛び出そう。


そんな話を

代名詞pronoun の話から

広げさせていただきました。

性的弱者LGBTQの話を盛り込むなど

年齢幅の大きいこのグループには

ハードな内容だとも思いますが、

日本は性教育後進国であり、

説明が難しいものからは目を背けていると感じています。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/55432


https://courrier.jp/news/archives/119521/


https://note.com/psy_kagami/n/n5771ae4bf12f

そして「知らない」「無知」「目を背ける」空気は

攻撃が多い社会を作ってしまうなとも

思っています。


小さい時から

「いろんな人がいる。それでいい。」と知っていることは

私はとても大事だと思っています。

ちなみに日本のLGTB層は左利きの人とほぼ同じ割合です。

https://dentsu-ho.com/articles/6542


こんなことを

BLM( Black Lives Matter)の話に繋げたりしながら

少しずつ広げて

メッセージを送りました。


今回はこちらのブログでその映像と

メッセージテキストをご紹介したいと思います。

代名詞の一覧表 旧バージョンと新バージョンです。

ダウンロード自由です。よかったらお使いください。

Embrace the difference


「ちがいを受け入れ飛び出そう」


みんなのクリアポケットブックに入っている

代名詞Pronoun一覧表。

今回コーチはこの表を新しく作り替えました。

さあ、どこが変わったかを説明する前に

一度みんなが持っている表を確認しましょう。


代名詞は会話や文章の中で出てきた人やものを

再び表すときに使います。

何度も名前などを繰り返さなくて済むので

便利な言葉ですね。

左側は、人やものの数がひとつの時。

右側は、二つ以上の時になります。

順に読んでみましょう。 

「私は、私が」が I
「私に、私を」がme  
「私の」はmy
「私のもの」はmine
「私自身」はmyself

ですね。


You, you, your, yours, yourself
He, him, his, his, himself
She, her, her, hers herself
It, it, its, its, itself

複数形は

We, us, our, ours, ourselves
You, you, your yours, yourselves
They, them, their, theirs themselves

と続きます。

さあ、これから新しい表をお見せします。

どこが変わったか、わかるかな? 

ここ、です。


2019年、

辞書でよく知られているアメリカの出版社が

この"they"をthe word of the year

今年を代表する言葉、として選んだものです。

日本の流行語大賞と少し似ているかもしれません。

その時から、

いつみんなにこの新しい"they"を紹介しようか、

ずっとタイミングを待っていました。

時代が変わると言葉も変わります。

それがこの新しい表にも現れているという訳です。


私たちはほとんどの場合、

人を

見かけや名前で

女性か男性か、

女の子か男の子かを判断しています。


しかしながら、

この周りの人の判断で苦しむ人が

日本にも世界にもたくさんいる、ということを

知っていますか?

だから、男性、女性というように

二つに分けないための代名詞 

彼女、彼ではない 「その人」を表す言葉

"they" が必要になったのです。


性別に自由がある、

固定されていない

そのことを

「二つに分けない性別」という意味で

gender fluid 

non-binary

と言い、

こういった性的少数者の人たちを合わせて

LGBTQ と言います。

少しずつこの単数形の"they"が使われ出しているから

the word of the yearに選ばれたのですね。


中学生クラスのお友達に聞きましたが、

教科書や参考書にはまだ載っていないそうです。

さあ、いつみなさんの英語のテキストが変わるかしら。

そのタイミングを待ちたいと思います。


実際、同時通訳の世界では

すでにこのtheyは使われているそうです。

わかりやすい例をあげましょう。


「田中医師がやる。」を英語にすると

Dr. Tanaka dose it.になります。

でも実際は田中先生は女性なのか、

男性なのかわからないかも知れない。

そんな時、She dose it.  He does it.

のどちらを選べば良いでしょうか。

この時に単数形で

性別を問わないThey が使えると便利なこと、

わかりますね。

男性、女性のどちらかを選ばなくていいからです。

ということで

Dr. Tanaka does it.は

They does it.

となります。

ちなみに

複数形のThey の場合は

They do it. になりますよ。


あるサイトを見ていてこんなことに気づきました。

女性音楽家支援団体のホームページです。

一人一人のアーティストを紹介するページがあるのですが、

ズームをすると、さあ、ここにpronounsとありますね。

この方はShe/Her を選んでいます。

生まれた時の体や見かけ、名前で判断されずに

こんなふうに、

自分でどう呼んでもらいたいか、

はっきりと意思表示ができるんですね。

https://maestramusic.org/


高校生の長女にも

学校で単数形のtheyを耳にしたことある?と聞きました。

日本に比べると

自分や周りの人の性についての意識は高く、

オープンだそうです。

しばらくしてこんなツイートを見つけたことを

教えてくれました。

英語を話す国の高校生によるものかと思います。

この子は英語の先生が

「君をどんな名前、そして代名詞で呼べばいいですか?」

"What do you want me to call you?"と

聞いてくれたことを嬉しいと感じ、

シェアしています。

この子もきっと名前や見かけの性別と

自分の心が感じる性別が異なることに

苦しんでいたのではないでしょうか。

生徒の個性を尊重して生徒に接する先生がいることに

多くの人が共感してリツイートしています。


ほんの少しずつではありますが、

そんな優しい世界が

学校にも広がっています。


もう少し具体的で身近な話をしましょう。

東京の渋谷区では

女性と女性、男性と男性が結婚できます。

このことを同性婚と言います。

世界では29の国で可能です。

逆に考えれば、

世界のほとんどの国では

同性婚は許されていないことになります。

同性婚は犯罪、そして死刑になる国もあります。


Black Lives Matter


黒人の人々に対する

アメリカ社会の構造的な差別について

君たちと何度か話す機会を持ちましたね。

近いところでは

テニスの大阪なおみ選手が声を上げていることで

皆さんもさらに興味を持っているかもしれません。

人種差別、

君の周りにはありますか?

感じたことはありますか?

あまりピンとこない。

酷い事件には心が痛むけれど、

どこか遠い国の話。

そんなふうに思っている人もいるかもしれません。


同調圧力


同調圧力

という言葉を聞いたことがありますか?

簡単にいうと

出る杭は打たれる

目立つと恥ずかしい、

おもてでも影でもあれこれ言われるかもしれない、

いじめられるかもしれない、

そんなプレッシャーのこと。

君たちの周りにはあるでしょうか。


「みんな同じ」を求める日本では

お互いの意図を読みあって、

空気を読み合って

果ては忖度して

政治までもが動かされることもある。

だからと言っていじめや、

偏見、差別がない訳ではありませんよね。


どんな時に君は自分が他の人と違うと感じますか。

違うと感じる時、どんな気持ちになりますか?

「人と違う」ことが怖いと感じたことはありますか。


Different


英語ではdifferentは褒め言葉になる時があります。

Be different.

Be unique.

人と違うこと

それはかけがえのないあなた、

他の誰とでもないあなたであるということ

それが応援されるべきと

多くの人が信じています。


先ほど同性婚が犯罪の国がある、と述べたように

違うことを許さない考え方も世界には存在します。

君自身はどう思いますか。


こう考えてくると

ブラック ライブス マターの問題は

決して他人事ではありません。

歴史を振り返っても、そして現在も

日本には様々な種類の偏見や差別が存在します。

差別は無関心、無知、偏見から生まれます。

だから君たちはまなぶのです。

アンテナをはりましょう。

多様性


多様性 ダイバーシティ、

という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

diverse = many, different

様々なものが多くある、

という意味で「多様性」となります。

多様性とは、様々な生まれや、文化や考え方や、

宗教、肌の色や人種が違うという意味だけではありません。


年齢、職業、病気や障害のある人、ない人、

外交的なひと、内向的なひと、

LGBTQの人、

スポーツ好き、ゲーム好き、

アニメ好き、歴史好き、

料理好き、車好き、

音楽好き、おしゃべり好き、

引きこもり、ボランティア


多様な人が集まって、活動すると、

集団が結果として強くなり、

優しくなり、平和になり、

協力して新しい価値を生み出すことができる、

それが多様性という言葉の中に含まれています。


Apple
Google
Facebook
youtube
twitter

君たちもおなじみの世界的企業や

新しい価値を創造した会社が

生まれた場所がどこか知っていますか?

シリコンバレーという名前を

聞いたことがあるでしょうか?

アメリカのカリフォルニアの

サンフランシスコにある地域の名前です。


世界中から移民がやってきて、

新しい価値を生み出す柔軟な風土、

つまり多様性があったからこそ

新しいビジネスが生まれたと言われています。

differentな人間が集まったからこそ

シリコンバレーは強いのです。


今日君たちは自分を掘り下げて、

ストーリーを作ったり

スピーチをしてくれました。

これからも、もっと、自分を知ろう。

人とは違う自分を知ろう。

掘り下げよう。


同質な空間で

同質な情報しか知らなければ

君は成長しない。

君たちはこの世界に貢献する、

contributeするためにいるんだよ。


それには人との違いを恐れず、

行動することが必要なんだ。


今回も多くのみんなが

今の社会の現状に問題意識を持って

スピーチをしてくれました。

だからこそ、

多様な人々と協力して問題を解決するような、

新しい価値を生み出すことが必要なのです。


飛び出せ。

違いを恐れるな。

違うことは素晴らしい。

これが今回のコーチからのメッセージです。


お付き合いいただきましてありがとうございました。

スナダマリコ 拝

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